大栗川通信

元記者でマーケターになった中年男「サパロメ」が、本や映画(アニメ、テレビ)や家電のレビュー、育児やブログ運営、ダイエットなどについて雑記をつづります

逃げちゃ駄目だ

昨晩、友人と電話してからひっかかっているものがとれた。東北関東大地震で起きた原発事故の影響を恐れ、今、関東圏から逃げるべきか否かという問題である。

一昨日から、政府および東京電力による大本営発表の疑念は急激に高まった。何より、発表が不明瞭で、しかも遅い。一部のジャーナリストの間では、政府関係者がすでに関西圏へ退避し始めていることをキャッチしたとの情報も流れている。

こうした退避者の中には、IT業界や思想界で有名な論客もいる。大本営発表が信用ならない中、情報収集に長けているとされる人の一部が、関東圏を捨て、ソーシャルメディアで「政府発表後の退避では遅い。今すぐ逃げるべき」と呼びかける。

こうした状況に恐れおののいているのである。自分や家族はどうすべきか判断に迷っているのである。

こうした考えは、被災地の人たちに失礼であるとする論調がある。東北に比べたら関東はマシなので、それを考慮し、言動を慎めとする論調だ。

ただ、関東の人々が今後、生命の危機に直面するのだとしたら、この論は意味を持たない。生命の危機にさらされれば、失礼などと言っている場合ではない。つまり、現状をどう捉えるかによって、この論調は正しいものにもなり、意味を持たないものにもなりえる。

つまるところ、情報収集がうまくいかない中では、正しい判断というものはない、というかできなくて、ただ、どう自分が納得する落としどころを見出せるか、に収斂される。そのためには、納得するための方法論があるか否かが重要であり、それが現時点では最も安心を得られるよりどころである。

その点で考えると、冒頭の友人が「今のところは大丈夫だと思っている」と話したのを聞き、それでかなりの安心感(納得感)を得た。友人の発言に科学的根拠はないだろう。何の保証もない。むしろ、変態と名高い人物である。それでも納得できたのは、これまでに何度も、この友人に相談することで、苦難を乗り越えてきたという自信(実績)があるからだ。彼なら冷静な判断ができるだろうという信頼もある。

正しい判断は、十分な情報さえあれば誰でもできる。難しいのは、正しい判断をするための情報が少ないとき、あるいは情報が錯綜して必要な情報抽出が困難な時、いかに自身が納得できる判断をするかだ。そのための具体的な方法論は人それぞれだろうが、重要なことは、それがリアルであろうとバーチャルであろうと、独りではなく、信頼のおけるネットワーク上で機能するかどうか、ということであると思う。

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