大栗川通信

元記者でマーケターになった中年男「サパロメ」が、本や映画(アニメ、テレビ)や家電のレビュー、育児やブログ運営、ダイエットなどについて雑記をつづります

叱れる人は尊敬されている人

お医者さんの卵を教えるお医者さん「指導医」向けに書かれた『Dr.岩田健太郎のスーパー指導術 ~ 劇的に効果が出る“教えるコツ”“教わるコツ』がとても勉強になったので読書メモをご共有。

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・「チェックしておいた症候群」(指導医が研修医に患者のあらゆる検査について「チェックした?」と聞くため、研修医がとりあえず大量に検査をしていくこと。過剰検査が問題になっている)が、研修医に検査の乱用を促し、第一義的な患者の回復に対して不利益を与える恐れがある。本末転倒な現象は、この「チェックしておいた症候群」に起因しているのではないか
・われわれは、彼が怒るに至るプロセスをよくみている。どのくらい患者の容態を心配し、患者の改善に心血を注ぎ、研修医の教育に魂を込めているかを、知っている。感染症のプロとしての質の高さも知っている。怒った後で気まずそうにしていたり、気恥ずかしく思っていたり、フォローに心の底から悩んだりしているのを知っている。このへんのコンテクストすべてをみておく必要がある
・やってはいけない教育方法は存在しない。やってはいけないタイミングがあるだけなのだ
・「司令官」「アイデアマン」「感情重視」「分析型」の4つのタイプに分けて相手のキャラを見分けよう。そしてそのキャラにあった指導を心がけよう。
・ペーシングなどのコミュニケーションスキルはくだらないバラエティ番組から学ぼう。
・「なぜか」「どうして」のきちんとした論拠をもとに自分で考えることができるようになってはじめて、質問するちから「突っ込み力」が養われる。
・誰が、何を、なぜ、などの論拠を明確にするメタモデルを活用し、いい加減で曖昧な議論を明確化しよう。
・成功体験から学ぶべきものはない。失敗体験からこそ人は学ぶべきものがある。
・議論は弁証法で行うべきAとBの邂逅からCという新しい考え方が生まれてくる。
・われわれは成功体験から学ぶべきものはすくない。失敗体験からこそ学ぶべきものがある。
・レクチャーは定型の決まりものでサマリーにスライドとやっても面白くない。自分が伝えたいことを明確にして、それをレクチャーでしか伝えられないやり方で伝えるべき
・レクチャーは自分が面白いと思ったレクチャーを徹底的に分析して、その要点を真似て真似し切った先に、オリジナルのレクチャーがある。

特に、2つ目のポツに共感しました。尊敬する指導医に怒られても、彼の優秀さ、真剣さ、人間性、怒った後に研修医を気づかうべきか否か葛藤する姿などを知っているからこそ、研修医は反感を感じないという指摘です。つまり、尊敬する人からの叱りは糧となり、尊敬できない人からの叱りは反感にしかならないということなのでしょう。

人を指導したり、子ども育てたり、後輩を育成するときには、何よりもその指導者は、指導される側が尊敬できる立ち振る舞いを普段からしているかどうかが、最も重要であるということを示唆しているのではないでしょうか。

教えるより、示すことが、真の教育なのかもしれませんね。