大栗川通信

元記者でマーケターになった中年男「サパロメ」が、本や映画(アニメ、テレビ)や家電のレビュー、育児やブログ運営、ダイエットなどについて雑記をつづります

アニメの素晴らしさは近所のレンタルビデオ屋が教えてくれた

近所のレンタルビデオ屋が、1月末で閉店することになりました。お悔やみ申し上げます。
最近はインターネットを通じてパソコンやスマホでビデオを見る人が多くなってきたからなのか、作品のクオリティが下がってきたから(需要の多様化に対応しきれなくなってきたから)なのか、はたまた単に経営者がやらかしちゃっただけなのか、理由はよく分からないけれど、わが青春の一ページとも言えるレンタルビデオ屋の閉店は、わたしにとってはとても悲しい事件だと言えます。

思えばこのレンタルビデオ屋がきっかけとなり、アニメにハマったと言えます。当時、わたしはアニメに特別な興味を抱いていたわけではありませんでした。とにかく、Hなビデオが見たかったのです。男子であれば誰もが知っている「はさみ込みの術」(エッチなビデオを、エッチとは無関係のビデオで挟み込んでレジへ赴くこと)を発動する際に、「ドラえもん」が非常に使い勝手が良かったのです。

ドラえもんは家族で見るアニメというイメージがあり、また、すべてのキャラクターが人畜無害な感じがして(ジャイアンでさえいい人に見えてしまいますよね)、はさむ素材としては一級品だったのです。そんなドラえもんですが、せっかく借りてきたので見てみると、実はかなり面白い。幼少の頃は適当に見ていましたが、ある程度成長してから見ると、特に劇場版はストーリーもしっかりしていて、エキサイティングかつ感動できるという、子供だましに見えて実は見事で良質なコンテンツであることが分かったのです。

これがきっかけとなり、藤子不二雄シリーズ、手塚治虫ガンダムボトムズガルフォースレイアースなどへと発展し、とうとう、くりいむレモンとかではさみだすようになってからは「これって意味ねえだろ?」と悟りを開き、普通に単品でこちらが主目的であることを明確にして、ガイナックス作品とか京アニ作品などを借りるに発展し、こんなことになってしまったのです。

アニメでわかる、メディアの生存戦略

こんな人間になってしまったことがいいかどうかはともかく、近所のレンタルビデオ屋は、間違いなく、わたしの青春の一ページでした。アニメの興味はゲームへ、マンガへ、邦画や洋画へ、そして小説へと発展し、わたしの人生を豊かにしていきました。悲しいときに慰められ、勇気が出ないときには奮い立たせてくれ、元気が出ないときには大いに笑わせてくれる、良質なコンテンツとは、そんな魂を揺さぶるようなものだと思うのです

レンタル最終日、わたしも顔を出しました。いつもより、人が多い気がしました。このレンタルビデオ屋には、見たいビデオをリクエストするボックスが店内の中央ほどにあり、ふと、そこを見たらこんな投書が貼り出されていました。

「やめないで!!」
「ありがとう!」


わたしと同じ気持ちの人が、ほかにもたくさんいたのですね。彼ら彼女らがはさみ込みの術の使い手かどうかは分かりませんが、わたしなりに、感謝と愛を込めたエントリーを、昼休みにもかかわらず、このレンタルビデオ屋に捧げたいと思います。ありがとう!