大栗川通信

元記者でマーケターになった中年男「サパロメ」が、本や映画(アニメ、テレビ)や家電のレビュー、育児やブログ運営、ダイエットなどについて雑記をつづります

多用するのに全く意味を知らなかった「ブランディング」についてちょっと調べてみました

 関口宏先生が司会をする伝記番組「知ってるつもり?!」のファンだったからでしょうか、知っているつもりになることが多いです。

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 そんな筆者だけかもしれませんが、企業広報の仕事で「それはブランディングにつながりますね」などと、よく考えずに「ブランディング」という言葉を多用することが多いです。そんなある日、企業PRの強化や企業価値見える化に関する社内の議論の中で、ありえないほど自分が「ブランディング」と多用していたにもかかわらず、全くその意味を理解していなかったことにようやく気付き、ちょっとブランディングについて調べてみました。

 以前、『外資系コンサルが教える、読書を仕事につなげる技術』(山口周、KADOKAWA)を読んで、その中の必読書リストが素晴らしいと感動しました。マーケティングの項目にあるブランドに関する選書を確認してみると、「ブランド本の大半は駄本で、『ではどうすればいいの?』の疑問に明確に回答しているのは筆者が知る限り本書だけ」とのコメントで、『ブランド戦略シナリオ―コンテクスト・ブランディング』(阿久津 聡、石田 茂、ダイヤモンド社)が勧められていたので、早速読んでみました。

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 本書によると、企業のブランディングとは、その企業のイメージや製品に対する企業と顧客(潜在顧客)の認識の差を縮める作業であると言います。その差を埋める具体的な方法論として、コンテクスト(文脈)に着目します。

 例えば、企業は自社の理念や製品に対する十分な知識(言語ベース)がありますが、顧客にはそれが必ずしも十分にあるとは限りません。そのため、企業と顧客の間には理念や製品に関するイメージや知識に大きな乖離があり、企業はより顧客に分かりやすく、顧客はその製品の魅力をより正確に理解すべく、お互いに歩み寄るよう働きかける仕かけづくりや行動全般のことを、ブランディングというわけです。

 そのため、企業と顧客を結びつける文脈の創造や刷新がブランディングの本質で、その具体的な手順を、豊富な事例を引用しつつ詳細に記されているため、「知ってるつもり?!」を見終わった時のような納得感を得ることができました。この中の「アセロラドリンク」のブランディング活動がものすごく分かりやすく、面白いのですが、ちょっと疲れてきたのでまた別の機会にご紹介させていただきます。

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 ところで、自社の理念や製品に対する思い入れがあればあるほど、言葉は悪いですが「専門バカ」になりがちだと思います。そうなると、「分かって当然」という態度が表に出てしまうこともあるのではないでしょうか。それは対面でも電話でも、メールの文面からでも伝わってくるかもしれません。

 ブランディングの意味について調べて、常に企業は顧客の立場で分かりやすさを追求し続けることで、その結果が強固な企業ブランドとして結実するのだと改めて思いました。個人の視点で考えても、「自分は明るい人間と思われている」「自分は暗い人間と思われている」と思い込み、周囲の人たち(企業で言えば顧客)の立場で自分のことを考えられていないことがあるかもしれません。そのことによって、「周りが自分のことを分かってくれない」「周囲との関係を改善したいが方法論が分からない」と悩むことがあるのなら、一度ロジカルに自分と自分を取り巻く人たちの文脈に着目してみるのもいいかもしれませんね、付け焼き刃ながら。

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