大栗川通信

元記者でマーケターになった中年男「サパロメ」が、本や映画(アニメ、テレビ)や家電のレビュー、育児やブログ運営、ダイエットなどについて雑記をつづります

住職専門誌でもポケモン特集、現実と仮想の明るい未来に向けて動き始めた社会

 現実世界と仮想世界の融合(AR:拡張現実)をベースにした人気ゲームの最新作「ポケモンGO」。最近は発売当時の熱は冷め、一段落した印象を受けます。ただ、ブームが去ったというわけではなく、新たなステージに進んだという見方もあります。

 NHKの報道によると、ポケモンに批判的だった人たちが、ここにきて軟化し始めているようです。代表的なのは、お寺や神社の対応。「階段につまずいて危ない」などの理由でポケモンのプレーを禁止するお寺や神社もありましたが、ここにきて一定の条件下でプレーを認めたり、逆に積極的にプレイヤーを増やす取り組みをするお寺や神社も出てきているようです。最近、『月刊住職』という専門誌の特集企画で、ポケモンが取り上げられたことが、ネット上の話題にもなっていました。

 また、ゲームの専門家によると、発売直後の熱が冷め、プレイヤーが減少するのは当然のことで、ポケモンに関しては、「むしろプレイヤーの減少はゆるやか」との見方です。すでにマックなどの企業は積極的にポケモンマーケティングに活用していますが、ここに公共施設も参加をし始めており、ポケモンは静かに、着実に、「リアルとネットの融合」を推進していると、NHKは分析しています。

 私もNHKと同じ見方をしていて、ARの技術や文化が、人気タイトルの参戦で、どれだけその発展を加速させるかが気になっています。

 IT社会の進展の中で、キーワードこそ変えつつも、AR、つまり現実と仮想の融合は常に注目されるテーマだったと思います。個人的に強く印象に残っているのは、ソーシャル・ネットワーク・サービスを通じて、大人たちが作り出した架空の人物に、ある少女が自殺に追い込まれた事件です。「存在しない人間に現実の子どもが殺された」という内容に、「ネット特有の事件」と特別視する見方がある一方で、一部のいじめ評論家は(1)社会生活を営む人としてのモラルに欠けた人が、(2)監視の行き届かない閉鎖空間の中で、(3)罪の意識が希薄化する状態で無責任な言動をし続ける――という通常のいじめと変わらない構造を指摘しました。

 2006年の事件当時は、「現実」と「仮想」を全く異なるものと分けて考えるのが普通で、「仮想」を過剰に特別視する意見が多かったように感じていましたが、10年経ってネット活用が進んだ今では、その傾向は薄れているように思えます。まだまだ、ARを危険視する風潮や「ポケモンブーム去った」と嬉々と報道する向きはあるものの、今回のNHKの報道のように前向きにポケモンを捉えようとする声を耳にする度に、「現実と仮想の融合で、現実はどこまで拡張されることができるのか」と、明るいARの未来に思いを馳せずにはいられません。

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