大栗川通信

元記者でマーケターになった中年男「サパロメ」が、本や映画(アニメ、テレビ)や家電のレビュー、育児やブログ運営、ダイエットなどについて雑記をつづります

プレゼンの苦手意識を乗り越えるため最初に読みたい良書5選

 話しても伝わらないことが多い方です。特に、会議の発表の場とか、イベントなどのスピーチとか最悪です。「何言ってるか分からない」みたいな顔されたり、頭の中が真っ白になること、結構あります。若い頃は、そういう機会が少なかったのですが、中年になり、管理職になり、そういう機会がかなり増え、正直、困っています。

 ということで、プレゼン対策の本をいくつか読み、最近では、うまくはないけれど、まあそれなりに伝わるようになってきました。そんなこんなで自分的に良書と思われるプレゼン関連本をご紹介。

入門編

世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく

 プレゼンをする際にまず重要なことは、説得力のある資料作成。プレゼンする内容のベースがツッコミどころ満載では、話になりませんからね。

 本書は、人を納得させる論理構成、その論理構成を補強する調査方法や論理の矛盾のチェック方法など、着想からプレゼンまでの過程が、タイトルに偽りなく「世界一やさしい」平易な文章で分かりやすく、高度な内容を噛み砕いて解説してくれます。

 本書を読むことで、課題の発見から対策提案までの一連の流れについて、大まかに最短で把握することが可能なのではないでしょうか。しかも、漫画のような平易な内容で1、2時間で読み切れます。

世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく

世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく

ノヤン先生のマーケティング学

 プレゼン資料の作成について、おおまかなポイントを抑えることができたら、実際に「誰に対して、どのような提案が有効か」という視点が必要なのではないでしょうか。この際、基本だけでも抑えておきたいのは、マーケティングの視点です。マーケティングの視点がなければ、せっかくの着想が理解されない可能性が高まります。

 そこで最低限、把握しておきたいマーケティングの知識としての良書がこちら。マーケティングに詳しい老ふくろうのノヤン先生が、独特の語り口で丁寧に分かりやすく、マーケティングの基礎や歴史について解説してくれます。マーケティングに詳しい方にとっては基本的すぎる内容かもしれないが、全くのマーケティング初心者だった自分には、かなり素晴らしい内容でした。「基本こそ何より重要」と感じさせてくれる迫力があります。

ノヤン先生のマーケティング学

ノヤン先生のマーケティング学

「分かりやすい話し方」の技術―言いたいことを相手に確実に伝える15の方法

 「誰に何を」というマーケティングの視点で、ロジカルに整理したつもりであっても、話してみると人に伝わらないということは、よくあることではないでしょうか。資料を読むのと、プレゼンを聞くのとでは、伝わり方が異なるためです。資料は自分のペースで理解できるまで読み込もうとしてもらえるかもしれませんが、プレゼンでは聞いている人が何か気になることがあっても、そのままプレゼンは進んでいってしまったり、整理された情報であっても、情報量が多すぎて理解が追いつかないこともあります。

 こうしたらプレゼンの場面で特有の問題について、医師の論理性とNHKアナウンサーの経験にもとづき、分かりやすくその注意点と対策を説明してくれるのが本書です。特に、「矢印メモ」という考え方が秀逸。論理の飛躍や冗長さなどの課題について、事前に「矢印」でチェックし、その内容について修正するという手法で、とても使えます。

初級編

ロジカル・シンキング―論理的な思考と構成のスキル

 自身のプレゼンに問題ありと感じた際、初めて手にとったのが本書。実は、以前働いていた会社の先輩から「この本を貸してあげるから、ちょっと勉強したら」と言われて手に取ったのがこちら。当初、「なんて失礼な…」と思いましたが、いわゆる「マッキンゼー式思考方法」というのを理解する上での分かりやすさとそれなりの内容が盛り込まれているというところで、本書は素晴らしい良書かと思います。

 本書は、話の重複や漏れやズレをなくす技術である「MECE(ミッシー)」と、話の飛びをなくす技術「So What?/Why So?」を身につけることを最大のミッションにした内容となります。いずれもロジカルシンキングに興味を持ち始めれば避けては通れない考え方かと思いますが、本書を一読すると「これほど深いものだったのか…」と感じる人も多いのでは。

ロジカル・シンキング (Best solution)

ロジカル・シンキング (Best solution)

スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン

 いくつもの伝説的なプレゼンをしてきたスティーブ・ジョブズ。本書では、プレゼンでジョブズが発した名言や魅力的なスライド、演出の数々を紹介しつつ、そのポイントを解説していきます。

 本書を見ると、ジョブズのプレゼンがいかに本質を突き、それを深掘りして考えるかに注力しているかが分かります。中でも「一番大切な問いに答える」という箇所は、心から同意するところです。どんなにロジカルでマーケティングの観点に立っていたとしても、聞く人にとっての一番大切な問いに答えられるかどうかは、最も重要なことでしょう。

 そのためには、単に聞く人の意見に耳を傾けるだけではなく、聞く人の潜在的な疑問や課題にたどり着き、時代背景や技術動向にアンテナを張り巡らせ、今のその場における最良の回答を導き出す必要があります。ジョブズはこの能力に長けていたのでしょうね。本書は素晴らしいとは思いますが、ちょっとまだまだこの領域には足を踏み込んでさえいないという感触です。

 まだまだプレゼンはダメダメなので、上記については「プレゼン力の向上」を目指している方には生ぬるいかもしれません。ただ、同じく「プレゼンは苦手」という方にとっては、現状を打破するいい取っ掛かりになるかもしれません。

スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン

スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン