子育てに正解はある、統計学は最強の学問?
「子育てに正解はない」とよく聞きますが、もし正解があるとしたらどう思いますか?
ここ最近、統計学に興味を持ち始めて入門書などを読んでいるのですが、どうやら統計学の世界では、正解のある子育て方法が確立しつつあるようです。
統計学が最強の学問である
超いまさらながら、ベストセラー『統計学が最強の学問である』(著者:西内啓、出版:ダイヤモンド社)を読みました。データ活用を軸にした経営コンサルティング会社の広報という立場にあることから、さすがに統計学について全く何も知らないというのはまずいよなと思い、本書を手にしました。全く統計学を知らない人でも相当に分かりやすく、楽しく読める内容になっていると感じました。
- 作者: 西内啓
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2013/01/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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本書によると、統計学のベースになっているのは疫学のようです。疫学は、19世紀に「ジョン・スノウ」という学者が広めた手法で、これによりコレラの感染者を激減させたようです。コレラの流行は水道水によるものだったとのことです。
その原因追求のやり方は、現場への調査をまず行います。調査ではさまざまなデータを収集し、そのデータを分析。その上で、原因となっていそうなデータに迫っていくのが、疫学的なアプローチとなります。コレラの場合では、あるA水道水とB水道水のデータに着目。すると、A水道水を利用する家族の感染率が、B水道水を利用する家族の感染率よりも圧倒的に高いことが分かりました。
このように、疫学とは「データが語る、ある可能性」を突き止める手法です。その可能性の確度は分析結果によって変わってきますが、コレラのように、データに明らかな「異変」があれば、「A水道水の利用を禁止すべき、以上!」というようなシンプルですが重要な意思決定をするのに大きく役立ちます。
落ちこぼれゼロ法
こうしたデータは、科学的根拠「エビデンス」と言われ、医学の世界では重要な考え方として広まっています。医学は人の命を左右する意思決定にあふれた分野です。患者として医学のお世話になる可能性がある立場としては、是非ともエビデンスに基づいた治療をしていただきたいと思います。
さらに本書によると、教育の分野でもエビデンスが重視されているとのことです。米国では「落ちこぼれゼロ法」という法律があり、この中で「エビデンスのある研究結果を考慮しなければならない」など、「エビデンス」を含む言い回しが計100回以上も登場するようです。さらに「落ちこぼれゼロ法」に基づいて、エビデンスのある実証研究の結果を片っ端から整理し、これをインターネット上に公開。米国の「教育の質向上」に寄与することを目指しているとのことでした。
子を持つ親として、こういう視点での提案は非常に興味があります。残念ながら英語が分からないので、教育に関してどのようなエビデンスが公開されているのか確認するまでには至っていません。おそらく、日本にもこうしたエビデンスの公開や言及している書籍などはありそうなので、近く、まとめてご紹介させていただければと思います。
- 作者: 中室牧子
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2015/06/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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